吟の庄を比較してみよう

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下から見れば上にあるものの足下がよく見えるものだ。
G氏自身の言葉を借りればこうなる。 焼け跡からの出発成功体験は時代環境と無縁ではありえない。
私はミシュラン北米にいたころから、日産は他社に比べて部品購買コストに甘い会社だと感じていた。 (中略)実際に日産の購買コストの数字を目にした瞬間、最優先課題は購買部門にあると分かった。

日産は部品やサプライに高い代金を払っていることに無頓着だった。 (K・G著「ルネッサンス」)今日、Sが取り組んでいる「トランスフォーメーション」における原価低減の進捗が思わしくないのは、似たような状況があるからではないか。
モノづくりの現場感覚を持たない官僚化した購買担当者は、モノづくりの実態を知らずに、ただ書類を作るだけである。 このような組織からは、モノづくりの強さは失われていく。
HS氏にせよ、K・G氏にせよ、部品納入業者としての経験が、後年の組立てメーカーの経営者としての芯を形成したのである。 IT氏はその意味で確かにS氏の恩人と言える。
もっともI氏の知るHはまだ二輪車メーカーに過ぎなかった。 I氏としても、Hが後に四輪車に参入し、やがて侮れない競争者になるとは予測していなかったろう。
出発点が終戦直後であったことは、HS氏のような個性の人物にとっては好都合だった。 日本全国が焼け野原で、人々はモノに飢えていた。
生産財を供給していた企業は、進駐軍によって財閥に指定され、経営者の多くが公職追放となっていた。 既成メーカーが麻庫状態になっていたのだ。

しかも市場は乾いた砂漠のようであった。 商う才覚さえあれば、どんな人間でも氏素性を問わず成功者になれた。
S氏好みの、建前不要、本音だけの世界が現われたのである。 S氏の才覚が非凡なのは、この状況の中で既製品を商おうとはしなかったことである。
そのようなものはやがて既存メーカーが活動を再開すれば、太刀打ちできないと考えたのである。 時代は変わった。
人々の生活スタイルも大きく変わっていくはずである。 であれば、その新しい生活に沿った何かを造るのが一番気が利いている。
終戦のとき、ほとんどの会社は坪何十銭という地所をたくさん持っていた。 戦争中に兵隊さんの勢いをかりて、材料も確保していたんだ。
ところが、Sとか、われわれとかは戦後一年も二年もたってから、無一物で仕事を始めたんだ。 無から有をつくるには、アイデアしかなかったな。

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